豊中の未来と
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坂口ゆうたの理念
活動報告
2024.04.26
公民分館協議会全体交流会へ参加
各地の公民分館の取り組み・課題を共有
2月17日に曽根のアクア文化芸術ホールにて開催された、公民分館協議会全体交流会へ参加しました。
交流会は、各地の公民分館の取り組みや課題を共有し、地域に持ち帰ってよりよい実践につなげていくための取り組みであり、実際に市内各地の公民分館で行われている取り組みの紹介は興味深いものでした。
全体を通して【コアメンバを増やすためには情報開示が必要】
公民分館活動の課題はおおむね共通しているように思えます。
活動の担い手の確保、情報発信の強化、各地域団体との連携。この3点はどの発表でも形を変えて課題として登場していました。
公民分館活動だけではなく、上の3点は地域自治組織やPTAといった地域で活動するすべての団体に共通するものであると考えています。
現状を鑑みると、地域活動へのライトな参加層、すなわちイベントなどが開催されるときには参加者として会場に足を運ぶが、それ以外の平時の組織運営など恒常的な活動には携わらない、そうしたスタンスの市民の方が増えているようにも思います。
それは、大阪都市圏のベッドタウンとして、毎年人口の5%が入れ替わるという社会的転出入の多さに由来する、地域への”郷土”、”ふるさと”としての愛着の総量が減っていることが原因だと考えています。
一方で、”郷土愛”のようなところからは離れて、純粋に楽しそうだから、面白そうだから参加しようという動きはむしろ、イベント運営側の集客努力によって一定加速しており、結果としてイベント等への来場は増え盛り上がりを見せるものの、運営側にそうした参加者からの新規加入は少なく、既存の担い手の負荷が増大してしまっているのではないかと考えます。
そのため、イベント等への参加=ライトな地域参加の増加をいかに運営としての参加=コアな地域参加へ結び付けていくか、という部分に課題があり、行政が介入するとすればこの点だと考えます。
ではなぜこの結び付きが現在盛んではないか。
これは運営側がクローズドになっていることが原因ではないでしょうか。
人間、新しい組織や人と接し、関係を築くことには大きなエネルギーを要します。学校に入学した直後、会社に入社した直後、右も左もわからない中で新しい人と話し、理解していくことは大変に疲れます。
「知らない」「わからない」状況へ入っていくことは、大きな心理的障壁であり、新しい人、担い手となりうる方に入ってもらうためには、その心理的障壁を下げるために運営側にどんな人間がいるのか、何を考えているのか、新しいメンバーに何を期待しているのかといった点をできるだけ多く開示しておくことが必要です。
少なくとも既存メンバの顔と名前、地域活動への思い、関わり方といった基本的な情報は必要でしょう。
情報発信の強化が必要という指摘はこの交流会でも多く上がりましたが、主に活動内容に焦点が当てられており、人に焦点を当てた取り組みや課題提起はなかったように思います。
人に注目した情報開示の結果、実は話したことがある人がいた、見たことがある人がいた、あるいは自分との共通点や親しみが持てる点がある人がいたとなれば、運営側として関わるハードルは格段に下げることができるのではないでしょうか。
そのうえで求める人材像、ペルソナをもっと明確にしていく。「新メンバ募集!」のようなあいまいな呼びかけより、「子どもたち向けの水遊びイベント開催のため、力仕事が得意な&水遊びの自信のあるパパ募集!」の方が、対象となっている人が「あ、自分のことだ、必要とされているな」と感じるのではないでしょうか。
行政はこうした視点からの実践的なアドバイスをもっと積極的に行うべきです。
また、それを実行するためのプラットフォーム(例えば、全市合同の分館情報発信HP、SNSアカウント、広報中の紙面スペース)を提供していくべきです。
今回のように、交流会として各地域の取り組みや課題を共有することも重要ですが、一方で、結局全地域でほぼ同じ課題を挙げてくるということは全市的に取り組むべき課題であって、同じ課題、同じ取り組みを共有してもそれはすでにやっていることの焼き直しにしかなりません。
市全体の課題として、行政も主体的に取り組む姿勢を持つよう、変えていきます。
地域ごとの取り組みと課題
発表はブロックごとに行われました。以下、各ブロックの内容も紹介したいと思います。
◎南部ブロック【庄内さくら学園での新たな公民分館活動に向けて】
南部ブロックは令和5年4月の庄内さくら学園開校に伴う分館活動の変化、及び統合に向けた取り組みと課題についての発表でした。
前提としての記載が遅くなりましたが、そもそも豊中市における公民分館とは、各小学校区ごとに住民が主体となって組織する地域団体であり、公民分館活動としては地域のイベント運営や情報発信を行い、もって地域の文化や伝統の継承を行っていくことを目的としています。
そのため、庄内小・野田小・島田小が統合され、庄内さくら学園となったことで小学校区ごとの設置が 前提となっている公民分館のエリアと現実の小学校区に違いが生じました。
この違いをどう取り扱うか、そして今後の公民分館活動をどのように行っていくのかが南部ブロック最大の課題でした。
発表では、庄内・野田・島田の各公民分館の担当の方が現状分析・課題把握をするところから始めたとのこと。そのうえで、3分館懇談会を実施した結果、最終的に校区が統合された状態での従来通りの3分館体制は困難との結論に至ったことが示されました。
そのため、3分館の統合に向けた検討を進めていきますが、課題となったのが各分館の文化や風土、あるいは分館活動の方法が異なること、世帯数がおよそ3倍になることから分館の運営方法を含め抜本的にその在り方を見直さなければならないことでした。
南部ブロックでは、こうした課題に対し各分館から2名+分館長+庄内公民館長で組織する「3分館合同行事実行委員会」を立ち上げ、新分館設立のための課題解消に取り組みます。
いきなりの統合は困難であるため、まずは既存のイベントの共同開催から。そして分館間の人的交流を行い、文化・風土、運営方法の違いを理解し克服していきました。
そうした取り組みを経て、今年4月から新たに庄内さくら公民分館としてのスタートを切っています。
発表では最後に、庄内さくら公民分館の目指す姿として、SNSやHP、あるいは情報誌の全戸配布といった手段を通して公民分館活動に対する認知度を上げていく、またさくら学園や庄内コラボセンターと協力してイベントを実施する、そうした取り組みを通じて、新しい公民分館が地域をよくする主体、中心となりたいと示されていました。
学校統合に伴う公民分館の統合は、豊中市では前例がない取り組みです。
しかし今後、教育委員会が示している想定スケジュールによればよつば学園校区、豊南・高川・小曽根・北条・中豊島小の各校区において統合に向けた検討が進められていきます。
このさくら公民分館の例はこうした市内他地域の分館の在り方検討のモデルとなることは間違いありません。現在のところ、地域の方々のたゆまぬ努力により、統合とその後の分館活動がしっかりと進められているように見受けられます。今後、統合された分館活動がどのような進化を遂げるのか、あるいはどんな課題が表出してくるのか、それぞれ注目していきたいと思います。
◎東部ブロック【現状の課題とその解決方法について】
東部ブロックからは分館スタッフの負荷軽減、地域団体との連携、情報発信等に関する課題提起と解決方法の検討結果が示されました。
示された課題は全市共通のものであると感じています。
分館活動の担い手が高齢化し、また固定化していることによって担い手の負荷が挙がっていること、またそのために新しい企画やイベントができず、マンネリとなり、イベントへの集客が低下し、分館活動への認知度が下がることでさらに新たな担い手が入ることも少なくなってしまう。
余力がないために他の地域団体との連携や情報発信を強化することも難しくなり、活動の先細りにつながってしまう。
こうした悪循環をどこかで断ち切らなければ分館活動は衰退する一方となってしまいます。
ではどこから断ち切っていくのか。
発表では、まず重要なのは魅力あるコンテンツ作りであることが示されました。
先ほどの逆の循環となりますが、魅力あるコンテンツがあれば多くの人に注目される。そして多くの人がイベントに来場し、分館活動の認知度がアップする。その結果分館活動に関心を持つ人も増え、担い手として参加してくれる人も増える、こうした好循環を作り出していくための第一歩がコンテンツとなります。
発表としてはこの方針の提示で終わり、具体的な取り組み等については次年度以降深化させていくとのことでした。
悪循環を断ち切って好循環を作り出すため、まずはコンテンツ作りに力を入れるという方針は私も必要だと考えます。ただその過程で、魅力あるコンテンツ作りにはどうしてもマンパワー、あるいは資金を投入し外部からアイデアを拾ってくる等の初動エネルギーが必要となるため、その点をどう乗り越えて好循環を回し始めるのか、今後注目したいと思います。
◎中部ブロック【持続可能な分館活動のために】
中部ブロックは前年度の「公民分館活動の担い手づくり」に関する検討結果を基に議論を深化させ、発表に臨まれていました。
新たな担い手として、高校生や大学生、定年後の人材といった具体的な選択肢を挙げ、そのための取り組みとして学校行事での分館活動の周知、転入者への広報といった施策が挙げられていたことが印象的でした。
分館活動と言えばどうしても壮年以降のイメージが強く、若い世代、特に学生への訴求は確かに弱いように思います。学生たちにとっては遠い存在である公民分館活動をいかに身近なものとしてとらえてもらい、参加してもらうような取り組みができるのか、興味深いと思います。
◎北部ブロック【次世代につなぐ分館活動】
北部ブロックはまず目指す姿として、地域の将来像や大事にしたいものを議論するというアプローチを取っていました。
その結果、「地域のつながり、コミュニティを大事にした地域づくり」、「安心・安全の地域づくり」がその具体として挙がり、これを基に具体の取り組み、課題の議論を行っています。
北部ブロックでも他ブロックと同様に、担い手の確保が最も大きい課題として挙がっていました。
北部の特徴として、大規模マンションの建設や宅地開発が多く、住民の入れ替わりが激しいことが挙げられます。一部の地区では、この十数年で8割の住民が入れ替わったとの報告もありました。
また、これまで特に学校を開催地としていたイベントなどでは、教職員やPTAとの協力のもと準備や運営が行われていたところ、働き方改革によって参加できる教員の数が減った、PTAの役割の変遷、人数の減少によって担当してくれる作業が減った結果、残りのスタッフの負荷が増大している現状もあるようです。
多くの人が来場するような大規模イベントを分館スタッフだけで開催することは困難です。そのため、他のステークホルダとの協力関係は必要不可欠ですが、それぞれの団体においてもまた、内的・外的要因によって従前どおりの活動が困難となっている現状があります。
今後は、団体単位での交流のみを追求するのではなく、住んでいる地域に何かしら貢献したいという思いを持っている個人を見つけ出し、参加してもらうという方針での施策が必要でしょう。
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